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<マイクロ取引>マイクロ取引時代にグーグルが衰えるとされる訳


メディア王のルパート・マードック氏が「グーグルからの新聞検索をブロックする」と主張する一方、グーグルは過去、米国新聞協会に対して新聞の記事一本単位のマイクロ取引に応じる用意があると主張した経緯があります。またYouTube上でドラマの販売をするのではと言う噂が出ています。しかし同時にグーグルはマイクロ取引時代には衰えると言う見方も根強いです。
注)クラウドコンピューティング(ITインフラの進化)とクラウドソーシング(コミュニティ)は欧米では一つのものとして議論されている点をまず理解してください。
マイクロ取引とは新聞記事単位やドラマや映画単位、仮想商品や仮想ギフトなどのネット上の小額取引を意味します。グーグルが確立した「情報データベース検索」+「全情報の無料提供」+「広告での収益化」と言うWeb2.0初期のモデルに対抗するものとして注目を集めているのが「クラウド(ネットを介したコミュニティ運動)+「マイクロ取引」+(「広告」)の新しいモデルです。米国のビジネスウイーク誌はこれを「アップ経済」などと呼び始めています。
昔のようにインターネット広告収益の大幅な伸び(年間3割増など)が見込めなくなる中、グーグルがマイクロ取引に出ようとしています。しかし「マイクロ取引はグーグルの中心的なビジネスモデルとは矛盾するため、逆に足を引っ張るだろう」と言った見方が強いです。筆者もこの見方に組みする者です。マイクロ取引は仮想商品や仮想ギフトを越えて音楽、出版、ゲームや携帯用ソフト、ドラマや映画のストリーミング販売、ソーシャルレンディングなどへと拡大を始めています。 これまでの広告モデルに代わる新しいネットのビジネスモデルですね。
このクラウド型のビジネスモデルは日本でもグリーやモバゲータウンが追いかけていたビジネスモデルに近いです。一方ミクシイのモデルはグーグルモデルの傍流ないしは変形と考えられます。その収益面での差は既に明白ですが。
★ グーグルのメインビジネスモデル
  「情報データベース検索」+「全情報の無料提供」+「広告での収益化」
★ クラウド型のビジネスモデル
  「クラウド(ネットを介したコミュニティ運動)」+「マイクロ取引」+(「広告」)
★★ Would You Pay to Watch New TV Shows for $1.99 on YouTube? [RUMOR]
http://mashable.com/2009/12/01/youtube-tv-shows/
<マイクロ取引の成長とグーグル衰退説、オープンソース=無料化万能の時代の終焉>
 重要なのはマイクロ取引とはクラウド(ネット大衆)の社会的規範に基づいた社会的貢献(ちょっとしたサービスや寄付感覚、お土産感覚)であり、ビジネス感覚の市場取引ではないと言う点の理解です。アプルのステイーブジョブスはitunesとipodで音楽のマイクロ取引に出た際、CNNのアンカーマン・マイケル・オブライエンからテレビ番組で「著作権の話は横に置いて議論しよう。」「違法かどうかは兎も角、一杯無料の音楽提供サイトがあるのに何故若者はitunesから有料の音楽を買うのか?」と指摘されジョブスは「頂く料金はサービスの価値である(音楽の価値では無い)」と答えています。判り易く言えば音楽愛好家コミュニティに奉仕している事への「心付け」が有料化=マイクロ取引の本質だと答えたわけですね。(この先見性には脱帽です。)
 しかしマイクロ取引と言うチリが積もれば膨大な売り上げに繋がります。この辺りが複雑系ですよね。
一方グーグルのアプローチは全ての情報商品(出版、新聞、音楽、ドラマや映画、ソフトウエア、電話サービス、デザインなど)のオープンソース化の徹底=無料化であり、広告費で稼ぐというものです。オープンソースと言う視点では確かにクラウドを理解していますが、それよりも左脳型社員に適した数学的な情報検索アプローチを重視しています。だからGMAILなどのグーグルドックも無料、アンドロイドも無料、クロームOSも無料と言う訳ですね。果ては新聞記事まで無料(ネットで有料の新聞、ウオールストリートジャーナルはグーグル上ではこれまで実質無料で読めました。)、小説などの書籍も無料、音楽も無料、ドラマも無料、携帯電話サービスも無料と少しどころか明らかに遣り過ぎました。
その結果、ソフト業界、出版業界や音楽業界、新聞業界、通信業界などが怒っている訳ですね。しかし世の中は既にマイクロ取引の方向に向かって動いています。これはグーグルの何でもオープンソース化=膨大な広告収益を背景とした無料化圧力ビジネスと明らかに矛盾します。
従ってマイクロ取引をグーグルが執り行うと新聞業界やテレビ、映画業界に主張しても信用されないでしょう。それにメディア王マードックが乗っかって戦いを挑んだ訳ですが。またそれ以上にマイクロ取引はもっと深いクラウド(ネットコミュニティ)の協力を必要とします。ですからマイクロ取引は既に参加者数が3.5億となったフェースブックやアイフォーン+アイポッドタッチで5千万人のアプル、5千万人のツイッターなどに適したビジネスであるのは明白です。その結果、アップストアは大繁盛であり、フェースブックはキャッスフローベースで黒字化しました。
アプルもフェースブックもアマゾンもプラットフォームは明らかにプロプライエタリーであり、オープンソースではありません。しかしそれを第三者に開放し、その上に雲のような開発者や生活者のネットを媒介としたコミュニティを作り上げて成功しています。その上で小口のマイクロ取引を行っている訳ですね。
クラウドコンピューティングの時代にグーグルの何でもオープンソース=無料が神話が崩れ始めたのは面白いですね。このあたりは「フリー」と言う本を書いたクリスアンダーソンの認識よりも世の中は先に動いています。
★★ フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 (単行本)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC~%E3%80%88%E7%84%A1%E6%96%99%E3%80%89%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%8A%E9%87%91%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%BF%E3%81%A0%E3%81%99%E6%96%B0%E6%88%A6%E7%95%A5-%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3/dp/4140814047/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1259807498&sr=1-1
日本ナレッジマネジメント学会専務理事   山崎秀夫

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