2006年05月01日
●英国BBC放送のWeb2.0計画『クリエーティブ・ヒューチャー』の衝撃!!
『まるで米国のSNSマイスペースそっくりだ!!』など色々感想が出ていますが、2012年の地上波放送のデジタル完全移行を前にして、伝統ある英国国営放送BBCはマスコミ型からオンデマンド型放送にビジネスモデルを変革する決意を固めたようです。果たしてBBCザウルスはWeb2.0と言う隕石の激突を哺乳類として生き残れるのでしょうか?
Web2.0に対する伝統企業の真剣な反応に関しては、マイクロソフトのビルゲーツによる『第二のジハード宣言』が知られていますが、次は英国BBCの『クリエーティブ・ヒューチャー』計画の番ですね。BBCの社長のマーク・トンプソン氏はWEB2.0を第二のデジタル・ウエーブと呼んでいます。
参照すべき記事は以下の通りです。
● BBCがオンライン分野の新戦略「Creative Future」を明らかに
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20102826,00.htm
● 英BBCがネット事業強化・ブログ開設で視聴者支援
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=AS2M27002%2027042006
● Creative Future - BBC addresses creative challenges of on-demand
http://www.bbc.co.uk/pressoffice/pressreleases/stories/2006/04_april/25/creative.shtml
● BBC's Director of New Media & Technology defines vision for the future
http://www.bbc.co.uk/pressoffice/pressreleases/stories/2006/04_april/25/newmedia.shtml
● Creative Future - The BBC programmes and content in an on-demand world
http://www.bbc.co.uk/pressoffice/speeches/stories/thompson_fleming.shtml
● BBC unveils big online revamp
http://news.com.com/2100-1026_3-6065318.html
視聴者によるブログ公開、BBCの放送動画に加えて自分たちの映像の投稿も可能、BBCホームページ画像のマッシュアップ的利用も可能、コミュニティあり、携帯電対応あり、ネット専用ドラマと言う英国BBC放送のWeb2.0計画『クリエーティブ・ヒューチャー』は良く出来ています。(お堅いBBCにSNSマイスペースの真似ができるのかと言うカルチャー問題への指摘もありますが・・・笑)
約一年間、色々な識者、関係者とプロジェクト・チームを作って検討した結果のようですが、良く出来ています。
この背景は三つあります。
● 若者のBBC離れが深刻 (まずCS(顧客満足)視点から評価しましょう 笑)
米国でも若者が三大テレビネットワークを見なくなり、平均視聴者年齢が50歳前後に高止まりしているとレポートされていたのを思い出して下さい。
BBCの調査によれば英国の15歳―24歳の若者の25%はBBCのテレビも全く見ないしラジオも全く聞かないそうです。また60%は一週間に三時間しか見ない、聞かないそうです。
幾らBBCがNHKと同じ国営放送であり、お堅い番組と言っても、英国ではチャネル数が四つ位しか無い中でこれは酷いですよね。
でもまあ、BBCによりハイクオリティの番組が一杯作られていますが、内容があまり面白くないことは確かです。さてこれをマーケティングの視点から見れば非常に面白いことが判ります。
BBCはNHKと同じ受信料制度で収益を維持しています。BBCのサービスであるマスコミ型放送に国民が魅力を感じなければ、当然、縮小や廃止論が出ます。次世代の国民がBBCを見ないとなれば、BBCはテレビザウルスとして恐竜のように滅んでしまいます。
今回のオンデマンド型放送と言うビジネスモデルにおいても収益の基本である受信料制度は維持されます。そのためにはサービスの消費者である国民全体をマイスペース型の大きなコミュニティに取り込んで、BBCの放送内容だけではなく、国民の作るコンテンツの投稿も認め、BBCの放送コンテンツとのマッシュアップも認め、BBCのインターネットを大きな英国国民の社交倶楽部にすると言うことのようです。(だから巨大なSNSマイスペースを研究した訳ですね。)
ロングテールマーケティングの視点から言えば、ヘッドの放送コンテンツはこれまで通りBBCが製作します。そしてロングテールに当たる放送コンテンツは受益者である国民がブログや動画SNSのYOUTUBEのように動画ブログとして作成します。
ロングテール部分においてはBBCのコンテンツを国民が自由にマッシュアップすることも出来ます。ヘッドとロングテールの二つのコンテンツ・サービスを消費しながら国民はコミュニティで世論形成と言う社交を行い、サービスの対価として受信料を支払うわけですね。これは現在の米国における最新のSNS動向とほぼ完全に一致していると考えられます。
● 2012年の地上波完全デジタル移行
米国は2009年、日本は2011年、英国は2012年を目指してテレビの地上波がデジタル方法に完全移行する計画です。
デジタルに移行すれば何時でもオンデマンド型放送(判り易く言えばインターネット型放送)が可能になる訳ですね。
既に韓国のテレビは放送後、有料でインターネットからドラマなどをパソコンから視聴できるオンデマンド型に移行しています。BBCのサービスはI-PLYAYERと言うそうですが。放送後一週間以内の番組はダウンロードできるようです。
来年頃から移行のための試行を始めます。2012年までは『ハイブリッド期間』と定義されています。
● Web2.0の衝撃
それではオンデマンド型放送開始後、若い視聴者がどんな事を望み、若者を満足させる為にはどんなサービスにすればよいのでしょうか?
英国BBCが真剣に参考にしたのがWeb2.0の議論であり、SNSのマイスペースでした。Web2.0の色々なサービスをオンデマンド型放送時代の視聴者サービスをイメージアップする為に活用した訳ですね。
ちょっと筆者なりにBBCになり代わってシーンをイメージアップしてみましょう。
例えば『世界卓球選手権の福原愛ちゃん』の映像が放送後直ぐにインターネットに登録してあり、ダウンロードやストリーミングにより視聴可能とします。
ファンはそれにコメントが付けられるようになります。ファン倶楽部の参加者は感想をブログで投稿すると共に『福原選手メタル獲得おめでとう』と言ったファンが喜んでいる姿も映像で投稿できます。それに皆でコメントを付けあってワイワイ楽しむと言ったイメージでしょうか?
それからXX月XX日に渋谷で愛ちゃんとの交流会のイベントが企画されて、うーん、優香の次に愛ちゃん好きの筆者なら喜んで参加しますが、15歳から24歳の若者に果たして受けるでしょうか?(笑)
CGMはユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツと表現されています。
かつて中世の英国には『コモンズ』と呼ばれる村の入会地があり、協働での放牧や村の祭りを通しての社交、情報の共有が行われていました。
しかし産業革命により『コモンズ』は滅びてしまいました。
21世紀の放送戦略として英国BBCは嘗て英国の哲学者ハーディンが『共有地の悲劇』と呼んだ中世の入会地である『コモンズ』をインターネット上で『クリエーティブ・コモンズ』として復活させる試みを開始する事を宣言しました。
▼ 日本企業にBBCの真似ができるか?
さて重要な点は歴史の転換点に置いて英国BBCのような伝統企業がWeb2.0の議論を真剣に受け止め、それを将来計画に反映してきている点です。日本企業はこう言った戦略視点が弱いですねえ。
果たしてどれだけ梅田望夫さんの『Web進化論』を伝統ある日本の放送業界の経営者の皆さんが真剣に検討されているでしょうか?(きっとさっと読んで『俺知ってる!!』と話題にしておしまいですよ 笑)
昔、太平洋戦争の帰趨を決定した海の戦いに『ミッドウエー海戦』がありました。ハワイの真珠湾攻撃で日本海軍の奇襲に敗北した米軍は、その客観的反省から大艦巨砲主義から航空兵力重視へと戦略(ビジネスモデル)を大きく切り替え『ミッドウエー海戦』に勝利を収めました。
一方、『ミッドウエー海戦』で敗北した日本海軍は、信じられないことに何の反省も行いませんでした。(防衛大学のナレッジマネジメント研究より)
この理由は『イノベーターのジレンマ』を超えた事柄の本質が見えない日本の集団主義文化(群れる文化)の弱さだと言う指摘もあります。この遺伝子は戦後の日本企業にも引き継がれています。
『現在起こっている環境変化の本質を見つめ、客観的論理的な分析を行い、戦略的な意思決定を行う点において、集団主義的意思決定に慣れた文化を持つ日本企業は概して弱い』と言う組織の弱点を覚えておきましょう。(個の自律と可視化を本気でやらねば・・うーん。)
筆者は嘗てサッチャー首相が統治したロンドンで五年間を過ごしました。市場原理の活用とICT革命(当時はビデオテックスのプレステル)を柱とした『国の行く末を見つめるサッチャー改革』のインパクトの凄さは、その後米英の経済的復活に繋がっています。
さあBBCはマスコミ型恐竜からオンデマンド放送の哺乳類へ脱皮できるでしょうか? ワクワクしますよね!!(英国人は本気だよ!! これほんとの話)
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ソーシャルネットワークマーケティングの山崎氏の投稿です。
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