2006年07月30日
●書籍『テレビCM崩壊』を読んでYouTubeやマイスペースでの出来事を思い浮かべる
米国では広告費のテレビからインターネットへのシフト議論が続いています。最近出版されたマーケティングに関する書籍『テレビCM崩壊』(有名なアルファーブロガー織田浩一訳)を早速、読んで見ました。筆者も本書の視点でYouTubeやSNSマイスペースでの最近の出来事を再度分析して見ました。
織田浩一さんは米国シアトルからAd Innovatorと言うマーケティングの有名ブログを運営されています。尚、執筆はマーケティング・コンサルタントのジョセフ・ジャフイです。
既にペプシコーラはテレビコマーシャルを一切取りやめ、インターネット広告にシフトしています。その上YouTubeに似た視聴者による動画の投稿までポータルサイトで始めました。
関連情報は以下の通りです。
●テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0 (単行本)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4798111147/503-0832872-6235940?v=glance&n=465392

米国広告業界を揺るがした話題の書、ついに上陸!
「放送と通信の融合」への答えがここにある! なぜペプシはテレビCMから撤退したのか?
▼本書の概要の概要
全体的にはテレビ広告が以前ほど口コミ効果を醸成できなくなり、ニューマーケティングと呼ばれているインターネット広告が台頭する様子が描かれています。焦点はグーグルではなくコミュニティ・マーケティング(ブランド・コミュニティの効果など)に当たっている点が面白かったですね。
さて本書は2005年に執筆されたものですが、最近ソーシャル・ネットワーク・マーケティングとして注目されているYouTubeやSNSマイスペース上の新しいマーケテイングの動きに関しては一言も述べられていません。
しかし、YouTubeやSNSマイスペースを活用したフォックス映画『X-MEN3』 やディズニーの『カリブの海賊』の大ヒットに繋がる直前、米国マーケティング業界が色々な事を試みたと言う短い歴史が良く判ります。マーケティング業界の楽屋裏ではこんな流れがあったのかと言うことが判ってとっても楽しいです。
▼本書に語られた予言の的中 -YouTubeやSNSマイスペースの試み-
本書では放送を打ち切られたにも関わらず、その後のDVDの大ヒットにより再びフォックステレビが復活させたアニメ『Family Guy』の事例、米国ビールのバドワイザーを製造するアンハウザーブッシュ社が『消費者が作った多数のパロディコマーシャル・フィルムをこよなく愛した』などの事例が出てきます。
また映画『スパイダーマン』(SNSのFriendsterは、実名原理主義を捨てスパイダーマンのキャラのプロフィールを登録し、友達申請を募ったことがあります。)や『ロードオブザキング』はポスターやバナー、プロモーションフィルムなどをインターネットに惜しげもなく流し続けて作品の質を超えるヒットを得た歴史があります。
本書は口コミ視点を重視し、インターネット・マーケティングはコミュニティ・マーケティング(ソーシャル・メディア)が中心となると述べていますが、どうやら当たりのようです。
そしてそのような手法が現在、YouTube上でのNBCテレビの中心ドラマ『オフィス』の視聴者によるプロモーション・ビデオ作成コンテストの実施やSNS、Tagworldによる映画『飛行機上の蛇』のプロモーション音楽の投稿コンテストに繋がっている訳ですね。更にマイスペースとYouTube上ではフォックス映画『X-MEN3』 やディズニーの『カリブの海賊』の大ヒットが生まれています。
最近『Nobody is watching』と言うドラマの米国のNBCテレビ放映の方向が決まりました。(最終決定にはもう少し時間がかかるようですが)これもYouTube人気が原因です。ワーナーブラザーズなどに袖にされた製作者が『Nobody is watching(どうせ誰も見ないよ!!)と言う皮肉な名前を付けてYouTubeに流し続けたところ人気が出て来た訳ですね。第一話は40万回以上見られています!!
http://www.youtube.com/watch?v=uEYCN3hVTYI
(ドラマ)
NBC Turns On 'Nobody's Watching'(記事)
http://www.zap2it.com/tv/news/zap-nbc-nobodyswatching,0,5673139.story?coll=zap-news-headlines
結局、マスマーケティングも口コミを自動作成していたのですが、その効果があまり効果が無くなり始めました。そこで色々なインターネット・マーケティングが試みられましたが、グーグル検索だけでなく、落としどころとしてインターネットのコミュニティ・マーケティングによる口コミ醸成に焦点が当たり始めました。そしてマスマーケティングの役割がそちらにシフトし始めていると言うことでしょうか。
米国のマイスペースやTagworld、YouTube上で自然発生的に起こっているかに見えるニューマーティングには、ここ数年の業界のチャレンジングな試みなど色々な歴史があった訳ですね。
▼日本への教訓
筆者は最近、ある携帯電話系SNSに取材にお邪魔しました。そのSNSでは『アニメの主題歌を音楽アーチストに公募で作らせて欲しい。そのイベントをSNS上で実施したい』と申し入れたところ各テレビ局とも『とんでもない!!ネットなんかにアニメCMを渡せるか!!』と言う態度だったそうです。
一方でYouTube上では極楽トンボの加藤さんの涙のシーンを日本から360万人も見に来ています。
きっと近い将来、日本でもベルリンの壁が崩れると思うのですが。
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山崎秀夫 / 日本ナレッジマネジメント学会専務理事
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