2007年01月14日
●YouTubeが加速した2種類のバイラル・アド(広告)が花開く
2005年の春に登場したYouTubeが、その後に加速したネット・マーケティングは、消費者作成CMによるオープンソース・マーケティング(消費者作成CM)とブランデッド・エンターテインメントが進化型、即ち2種類のバイラル・アド(広告)でした。そして2007年には、ポータルサイトから放映される企業主宰のテレビかつブランドコミュニティとして、2種類のバイラル・アド(広告)のコンビネーションが全面開花しようとしています。このあたりを纏めて見ました。
オープンソース・マーケティング(消費者作成CM)とブランデッド・エンターテインメントの両者共YouTubeの登場以前から有りましたが、YouTubeによりその内応が大きく進化したと考えられます。
ソーシャルメディアが与えたマーケティングへの影響と言う視点からは、YouTube + マイスペースが最も大きいでしょう。
●ブランデッド・エンターテインメント
まずこの関連記事は以下の通りです。
▼ブランデッド・エンターテインメント
http://www.nikkeibp.co.jp/netmarketing/word/explan/061125_bdetm/
▼THE HIRE – THE ACCLAIMED FILM SERIES BY BMW – WILL END A FOUR AND A HALF YEAR INTERNET RUN OCTOBER 21ST
http://www.bmwusa.com/bmwexperience/filmspr.htm
引用
映画やテレビドラマなどのエンターテインメント・コンテンツが持つストーリーや世界観を活用して、ブランドの価値を効果的に伝える共感型のコミュニケーション手法。2001年から2002年にかけて、BMWが自社Webサイトで公開した計8編のショートフィルム(短編映画)「BMWフィルムズ THE HIRE」が有名。
引用終り
織田浩一さんの監修翻訳書『テレビCM崩壊』にもあるように、元来、ブランド提供企業がCM等と共に娯楽ストーリーや音楽を提供するマーケティング手法ですが、これまではテレビ・ドラマやテレビCMなどの中にさり気無く商品を登場させるなどの広告手法でした。またテレビコマーシャルにストーリー性を持たせてブランドを包み込む形のアプローチが主でした。
更にゴルフやマラソンのようなスポーツ中継テレビ番組の『オフィシャル・ドリンク』や『オフィシャル・カー』、『オフィシャル・ウオッチ』なども広い意味でのブランデッド・エンターテインメントと考えられます。映画の中で女優のジュリアロバーツが『FEDEXの車』に乗り込んで、「さよなら」するシーンなどが出てきます。これなど典型的な事例ですね。
しかしここに来て、YouTubeの成功によりブランデッド・エンターテインメントはテレビ番組などのマスコミから離れてインターネットの動画サイトやブランド提供企業の自社サイトでの展開が始まっています。
引用
BMWフィルムズは、新規顧客を開拓するために40代以下の高学歴層へのブランド訴求を狙って、インターネット限定のオンライン・ビデオとして「THE HIRE」を公開した。BMW車を華麗に操る“運び屋”が主人公で、10分前後のストーリーが計8編ある。制作を担当したクリエーティブ系の広告会社である米Fallonは、ほかにも2004年にAmazon.comが書籍・CD以外の取り扱い商品の認知度を上げるために作成した「Amazon Theater」など、著名な監督や俳優を配したショートフィルムを多数手がけている。こうした動きを受け、日本でもショートフィルム形式のブランデッド・エンターテインメントの制作が盛んになった。
引用終り
さてYouTube登場以前のインターネット上でもブランデッド・エンターテインメントは展開されていました。
まずブランデッド・エンターテインメントは2001年頃から自動車のBMWなどがインターネット上で熱心に展開していました。当時はバイラル・アドと呼ばれるなど、消費者を魅惑するシナリオで勝負するプロモーション・フィルムでした。テレビ上の展開との相違は、値段の高い有名俳優を起用せず、安いプロのプロダクションを活用して一本、精々500万円程度で製作していました。いわゆる、値段の高いテレビCMが一本当たり一千万円以上かかるのと比べて一桁安いわけですね。
当初は企業が自社のポータルサイトから細々とバイラル・アドを流していました。
ネット書店のアマゾン劇場なども有名です。
そしてこの頃からビデオ(動画)を自由に消費者がコピーして知り合いに送るなど、次第にネット口コミ要素が目に見える形で重視され始めました。この点がテレビベースのものと異なります。これがバイラルアドと呼ばれていたものです。
さてYouTubeの成功は、インターネット上で一挙に大きな動画視聴コミュニティを作り出すと共にフラッシュビデオと言うストリーミング型のIT技術を普及させ、消費者が誰でも簡単にビデオ投稿するライフスタイルを作り出しました。同時に若者を中心にYouTubeのようなインターネット動画をエンターテインメントとして見るライフスタイル=態度が養われました。YouTubeにより、動画視聴や製作投稿のいわゆる文化的遺伝子=ミームが社会に浸透した訳です。
▼Sony Bravia (有名なボールのブランデッド・エンターテインメント)
http://www.youtube.com/watch?v=CSBn3-A2V8o
その結果、2007年にはバドワイザーやペプシコーラなど多くの企業が自社テレビを立ち上げる処まで進化始めています。そして以下に述べるオープンソース・マーケテイングと一体化を始めています。
▼米国で始まる企業ポータル発ネット娯楽テレビはマスコミを滅ぼすのか
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=1961
▼マイクロソフトが始めるWINDOWS VISTAの『ブランド・エンターテインメント』の面白さ
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=1968
●オープンソース・マーケティング
オープンソース・マーケティングを意味する、いわゆるCGCM(消費者作成コマーシャル・メッセージ)は、テレビ広告のパロディ版として消費者が勝手に作り始めたと言う歴史があります。
▼Paris Hilton parody :)) (CGCMの原型を楽しみましょう!!)
http://www.youtube.com/watch?v=N9K-9R3KszY
最初に注目されたテレビ広告のパロディ版CGCMはビールのバドワイザーに関するものでした。
(そのバドワイザーが2007年のスーパーボール終了後からブランデッド・エンターテインメント + YouTube を参考にしたBudTube付きのBudTVを立ち上げるので注目を集めている訳ですね。)
この後、YouTubeが本格的に登場し映画『Snakes on a Plane』などで勝手な消費者CMが多数登場しました。例のコカコーラとメントスの消費者作成CMも有名ですね。
そしてその後は企業がテーマを決めて公募する形で企業スポンサー型のCGCM(消費者作成コマーシャル・メッセージ)ブームが来ています。例えばNBC放送が2006年の秋のドラマ用にCGCMを募集していました。また映画『Snakes on a Plane』用にも動画SNSのTAGWORLDで主題歌の募集がありました。
●両者を統合するSNSなどのネットコミュニティ
両者を統合する際に活用が検討され始めているのがSNSなどのネットコミュニティ
です。更にこれはソーシャルメディアの利用の上に自社の口コミ拠点であるブランド・コミュニティを作り上げる方向に向かうでしょう。
SNSなどによるブランドコミュニティは二つのものが活用されると考えられます。一つは自社の企業ポータルサイト上での展開です。もう一つはマイスペースの内部やYouTubeのブランドチャネル上での展開です。
いずれにしてもネット上のブランドコミュニティがあれば、口コミの誘発が確実になると言う訳ですね。
●企業ポータルと独立系大手のサイト(YouTubeやマイスペース)が主戦場
さてBudTVに代表されるように企業は、インターネット上で直接、自社のブランドチャネルを立ち上げ、オープンソース・マーケティング(消費者作成CM)とブランデッド・エンターテインメントの進化型に自社SNSなどを組み合わせた戦略を展開し始めています。そして基本は共にバイラルアドですから独立系大手のサイト(YouTubeやマイスペース)とも連携して展開することになります。
いよいよ企業が自社でYouTubeやマイスペースを持ち、オープンソース・マーケティング(消費者作成CM)とブランデッド・エンターテインメントの進化型を展開する時代になりました。
(次ぎは企業内ですね。インターネットで起きたことは必ずイントラネットで起きますので。)
ソーシャルメディアは一体、どこまで進化するのでしょうか?
日本ナレッジマネジメント学会 専務理事 山崎秀夫
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