2007年02月27日

●ミクシィ(mixi)ドラマは、企業広告は成功するか?

 「日本でもやっと始まったのか」と言った印象ですが、ミクシィ(mixi)ドラマが広告スポンサー付で始まりました。でもプロの作家が小説を書き、テレビドラマでも無いのに主役が女優の池脇千鶴と発表されており、彼女たち出演者が日記を書き、ミクシィ(mixi)参加者は友達の輪に参加できると言うややこしさ、複雑さです。これで上手く行くのでしょうか?

mixi.gif

筆者の第一印象は日本的な「何でも詰め込み式」な印象であり、スチーブ・ジョブスでは在りませんが「コンセプトがシンプルではない」ですよね。

関連記事は以下の通りです。

▼登場人物ともマイミクになれます--mixi上でユーザー参加型のドラマ広告

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20343985,00.htm?ref=rss

▼mixi上でユーザー参加型のドラマ広告を開始

http://press.mixi.co.jp/press_070226.html

▼mixiドラマ

http://mixi.jp/drama_eo.pl

引用(mixiのプレスリリースより)

mixiユーザーのログイン率の高さを考慮して、高い頻度でコンテンツの更新を
行い、商材や企業の認知の向上やファン層の拡大を目的としています。
「mixi x ドラマ」の特長は以下の通りです:
□ 毎日更新されるWeb小説(平日のみ)
□ 登場人物にmixi公認アカウントを貸与し、日記やフォトアルバムを更新
□ 登場人物とユーザーが「マイミクシィ」となることが可能
□ 登場人物への紹介文や、応援メッセージによる参加が可能
□ ストーリー展開にユーザーが参加
□ プロフィールや本文中に関連キーワードによる協賛企業による広告を掲載
□ 登場人物のmixi日記上でサービスの実写など協賛が可能な仕掛けを準備
□ 広告主企業は、登場人物をスポンサー(主人公へのスポンサードは除く)
「mixi x ドラマ」は、株式会社アイメディアドライブ(東京都港区、
代表取締役社長:高松 雄康)の協力により実現したもので、第1回目は
「日本ラブストーリー大賞」を受賞した、作家原田マハ氏の書き下ろし小説
「普通じゃない。extraordinary.」を中心に展開し、株式会社インテリジェンス、
花王株式会社、トヨタ自動車株式会社、P&Gグループ、の協賛が決定して
います。尚、今回の主人公は池脇千鶴さんです。

引用終わり

第一回は「日本ラブストーリー大賞」を受賞した作家として知られる原田マハさんが「普通じゃない。extraordinary」と言う名の書き下ろし小説を提供するそうです。何れテレビドラマにでもするのでしょうか? 主役や脇役が既に決まっており、彼らは日記を書くそうです。主役に想定されているのは女優の池脇千鶴さんだそうですが、実際に舞台やテレビ、ラジオで役を演じるわけではありません。だから小説の中の役者になったつもりで日記を書くのでしょうか? 彼女は多くのマィミクを獲得できるのでしょうか?

●詰め込みすぎのコンセプトの分解と解説

 複雑系の理論によれば「全体は単なる部分の和」ではありませんが、今回のミクシィ(mixi)ドラマはちょっと複雑過ぎて良く判らないので、部分に分解して(要素還元法)説明を試みてみましょう。

★参加する役者とのマィミク申請

 はい、2004年頃から米国のマイスペースやFriendster上で盛んに行われていました。例えばFriendster上ではNBCのドラマ「スタックト」の出演者がブログを書いていました。各種のスターとSNS参加者との友達申請はスパイダーマンやマリリンモンロー、マイスペースの女性歌手のヒラリーダフの例があります。今ならマイスペース上で2008年大統領候補のオバマさんやヒラリーさんと友達になれます。

★小説の執筆とドラマの展開とは
 
 プロの作家による小説執筆は、米国ではあまり聞いたことがありません。
ミクシィ(mixi)上ではアルティシアさんの日記「59番目のプロポーズ」などが小説になりました。しかしこれは生活者が主体的に語った私小説であり、広告の視点からは「CGCM(消費者作成CM)」に近いものです。だから「59番目のプロポーズ」は大衆表現社会(CGCM)の世界(つまり下から)から出てきました。

一方、今回のプロの作家による小説執筆は、大衆表現社会(CGCM)から出てきたものではありません。これはプロの作家と言う上から出てきたものです。シナリオはミクシィ(mixi)参加者から意見を一杯、聞きますが、飽くまでもプロの作家が(どうしてもある程度、広告企業の意向に従って)ドラマを作成すると考えられます。どちらかと言えば、消費者の意見を聞いてドラマの筋を微妙に変更する韓国テレビドラマの手法に近いですね。

★典型的なブランデッドエンターテインメントだがグレーな部分もある

そこで企業広告も明らかにプロの作家のシナリオや役者の皆さんが書く日記のシナリオに沿って提供されることになると予想されます。逆に言えば「広告企業がシナリオに沿った広告を出しやすいようにシナリオや日記が組み立てられているんだろう」との危惧が湧いてきます。例えば車のシーンを多くし、スポンサーである自動車会社が広告を打ち易いようにする訳ですね。洗剤の広告も同じでしょう。

これは一種のブランデッド・エンターテインメント(企業が面白い物語を提供し、さり気無く広告を打つ)ですが、筆者にはどうもグレーな感じがして、何かスッキリしません。

★ステルスマーケティングのリスクは無いのか?

ドラマを楽しみ参加するミクシィ(mixi)参加者が判断する事でしょうが、筆者には「ちょっとステルスマーケティングの要素がある」かな?と感じられます。ミクシィ(mixi)参加者にマィミク申請させたり、ドラマの展開に意見を言わせる事で、明らかに「巻き込み効果」を狙っていると思われます。これを上手く使えばミクシィ(mixi)参加者には、「自分たちが育て作っているドラマ」と言う幻想が生じます。

特にテレビドラマでは無く、単に小説が書かれるだけの中で、実際に演じても居ないのに企業スポンサーが付いて役を演じた気持ちになった役者さん達が書く日記は、ステルスマーケティングのリスクが高まるのではと危惧しています。(余計なことかも知れませんが)

例えば朝青龍が出演した「ドコモが一番」と言うテレビCMは、明らかに広告と判っています。YouTube上で行われているLynxjetなどのブランデッド・エンターテインメントなども広告と判っています。

ミクシィ(mixi)ドラマは基本がドラマなのか、それとも広告なのか主体がハッキリしません。例えばジェームスボンドの映画の場合は、イアンフレミングの小説が先、映画が先で、その中にロウレックスの時計などをそっと詰め込みます。主従関係が実に明快な訳ですね。こう言った点が不明瞭なんですよね。今回のアプローチは。

 まあ別にステルスマーケティングは法律違反ではありませんから、ミクシィ(mixi)参加者が満足すればそれで構いませんが。但し、この点を明らかにしないと鋭いミクシィ(mixi)参加者から、ミクシィ(mixi)ドラマは早晩、拒否されるかもしれません。

●唯成功を祈りましょう!!

現在、ミクシィ(mixi)上の広告プロモーションやマーケティングは益々盛んです。

例えば以下の事例も多少、一種のCGCM(消費者主導マーケティング)的要素があり、その変形と考えられます。

▼mixiPOPガール投票結果発表!

http://www.nozomu.net/journal/000226.php

引用

カネボウ化粧品さんのファミリーマート専用商品、MFC化粧品さんから相談があって、takibiでは化粧品のキャンペーン企画を実施中です。ソーシャルネットワークサイトmixiと組んでキャンペーン企画を立ち上げることになりました。これはmixiでPOPガールを公募、投票で選ばれたmixiからの9名は、実際にファミリマートの店頭に、POPガールとして露出をする、という仕組みです。

引用終わり

この「mixiでPOPガールを公募、投票で選ばれたmixiからの9名は、実際にファミリマートの店頭に、POPガールとして露出をする」が口コミを作り出す訳ですね。無論、彼女たちがPOPまで作り出す訳ではありませんが。
いずれにしてもWeb2.0と言われる新たな社会環境である『コモンズ』は、参加者が誠実性と倫理観を大切にする場所です。マーケティングもそれに沿ったものにしないと成功は覚束無いでしょう。

現段階では新しい試みである「ミクシィ(mixi)ドラマ」の成功を祈りましょう!!

日本ナレッジマネジメント学会 専務理事 山崎秀夫

Posted by sns at 2007年02月27日 16:20
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