2007年05月29日
●日本のSNSはFacebookになるか、MySpaceになるかが大きな分かれ目では
![]()
「mixiを抜かすSNSを作る方法」とかの煽りっぽいタイトルにしようかと思いましたが自粛。それほど「個人的には」興味深い動きが海外であったのでご紹介。
今日、友人からSNSの質問をされて。「FacebookがMySpaceを抜くと言っているが人数やアクセス数には大きな差がある。なぜだ?」ということでして。
先日から騒がれている(日本でも若干)Facebookの動向の件ですね。
ふむふむ、と丁度良い機会なので整理。間違いあったらごめんなさい。
■前提 SNSの説明
Facebookとは元は学生SNS。SNSのトラフィックランキングの中では2位。
MySpaceは世界1のSNS。音楽をコアにした展開を見せる。
■前提 利用者数
MySpaceの利用者数:1億人以上
Facebookの利用者数:2,400万人以上
参考:Facebook Adds Partners(※ここではなぜかMySpaceが6,700万人となっていますが1億は超えています →MySpace Hits 100 Million Accounts)
■前提 トラフィック
2007年4月の月間トラフィックが
MySpace:SNS全体の79%
Facebook:SNS全体の11.4%
(2サイトでSNS全体トラフィックの9割を占める)
MySpaceが全SNS利用者数の8割を占める: SNS,ソーシャルネットワーキング.jp
参考:2007年1月のデータ
Social Networking Visits Increase 11.5 Percent From January To February(1月から4月においてMySpaceのトラフィックが1%ほど減り、Facebookが1%ほどアップしています)
■他、Facebookデータ
- 2007年の1月より平均、毎日10万人の利用者が増加中。
- 2006年の9月からアクティブユーザー数は2倍に。
- 利用者の半分以上は大学生以外。
- もっとも増加中のユーザー層は25歳以上。
- 半分以上のアクティブユーザーが毎日利用。
- ユーザーは平均20分ほど利用。
■前提 まとめ
FacebookとMySpaceではユーザー数、トラフィック数ともにかなり大きな差がある。
■事件発生
で、このような状況の中「Facebook凄いぜ騒動」が持ち上がったのは5月24日にFacebookが行ったイベントが発端。
イベントの概略:Facebook、マイスペース追撃策を発表--SNS内での外部サービスの展開を許可 - CNET Japan
盛り上がりの参考:メディア・パブ: Facebookの開放宣言,MSやGoogleになるとの過激反応も
■何が発表されたのか?
簡単に言うと「オープン宣言」をしたのです。大きなところでは4つ(ないし5つ)の発表がありました。
- アプリケーション開発プラットフォーム「Facebook Platform」を発表
- マークアップ言語「Facebook Markup」を発表
- Facebookサイト内での広告配信やサービスの販売なども認める
- Amazon、Microsoftなど65社と提携したことも発表
- 提携した企業とのアプリケーションを発表
これにより外部の開発者がFacebook用のアプリケーションを簡単に作れるうえ、そこでビジネスができるようになりました。
ユーザーとしては、Facebook内で使えるコンテンツがてんこ盛りに増えたということです。写真共有サイトやスライド共有、企業株価情報、動物写真投稿、ファッション情報などなど。中にはDogsterのようなSNSさえも協力。
ちなみに65社とはこのような企業。
atomic mobile, attendio, amazon, all widgets llc, box.net, bunchball, picnick, chumby, channels.com, dogster, ef tours, ether, fashion for the people, feedburner, fliptrack, forbes.com, ford models, glimpse.com, hot or not, i like, jangl, lending club, localplatform, microsoft, mog, mosoto, obama for America, oodle, pickspal, platial, plum, project agape, prosper, photobucket, qoop, radar, rapleaf, red bull, rockyou, rupture, scrapblog, scribd, sidestep, slide, snapvine, splashcast, terralever, the founders fund, twitter, uber, u playme, veoh, viagogo, virgin mobile USA, warner bros records, washington post, widgetbox, yakpack.
■Facebookのこの宣言の意味
SNS初期のころ、よくされた質問に「SNSはブログと何が違うん?」ということでした(他にはマルチ商法と何が違う?と聞かれたこともありましたが別の話)。
SNSでは、mixiを筆頭に日記(あるいはブログ)を実装しておりました。ですから利用者にとってはSNSがブログに毛が生えたものに見えたのでしょう。
で、その時によく言っていたのが「ブログは個人という縦を深めるもんで、SNSはあくまでも友人と繋がるネットワークを作り横を広げる」という説明をしてました。
ですから日記がなくてもコミュニティがなくてもネットワークさえあればSNSはSNSなのです(ボトムアップからの定義を応用するならば)。
で、この例えを使わせてもらうならば、Facebookは、「横」に徹するというようなスタンスを打ち出したわけです。
Facebookとしては、利用者のネットワーク(これをソーシャルグラフと呼んでいるらしいですが)がコアなわけであり、コンテンツは外部に投げちゃうというスタンスです(もっとも自前でも写真共有機能など幾つかの機能はありますが)。
■対するMySpace
MySpaceは簡単なウィジェットなどはプロフィールページで使えるようにしています。しかしいきなり禁止をしてしまうこともありました。最近ではPhotobucketの件が話題になっていました。
参考
MySpace、Photobucketのコンテンツも禁止に--ユーザーからは不満の声 - CNET Japan
つまり、MySpaceは「閉鎖的」や「自前主義」までとはいかないですが、第三者からとしては不安点が大きかったようです。
そして、この点においてMySpaceとFacebookが非常に対比的な立ち位置が明らかになりました。この違いをどう評価するかが冒頭の「FacebookはMySpaceを抜かすのか?」の評価につながります。
まだなんとも言えないですが、「Friendsterが魅力的なコンテンツを提供できずにMySpaceに負けた」という事例だけをベースに考えると、コンテンツ提供速度や多様性が多いFacebookがMySpaceの利用者増加率に近づく(ないし超える)こともあるのではないかと。
ただ、基本はMySpaceとFacebookは毛色の違うSNSなのでそう簡単には比較できないですが。
大きくいうと、このような事情から最近のFacebook熱が高まっているわけです。
■Facebookはどこに向かうのか。
さて、ではFacebookhaどこへ向かうのか。
ひとつのキーワードが「ソーシャルOS」(恐らく、SNSのネットワークをプラットフォームにするという意味よりはもう少し広い意味があると思いますが)のような気がします。
これはFacebookの人が言ったのか、誰かの造語かは知りませんが(多分、勝手に言ってるのでは?)。
The Denver Post - Facebook in race to create "social OS"
GigaOM Facebook aims to be Social OS ォ
まぁでもキャッチーな言葉なのでこれを使うと、SNSの今後の方向性が少し見えるような気がします。どういうことかというと、ここからは憶測も入りますが、今回の件でFacebookはオープン性を前面に出しました。
それがその先に行くと、たとえばWebサービス以外(メーラーやメッセンジャーや、はたまたモバイル)などとの連携も考えられます。
またこれからSNSを立ち上げようとしている企業も、とりあえずFacebookのこのプラットフォームを立ち上げるでしょう。なぜならSNSは先駆者利益があるために(いちいち他のSNSに乗り換えて人脈を作るのがめんどくさい、プロフィールを作成するのがめんどくさいなどの点)、人集めに力を注ぐよりは、人に使ってもらうコンテンツを作ったほうが効率が良いからです(もっとも、これも人集めの一種ですが、少なくとも人の目に触れる確率は格段に挙がる分、楽になる)。
すでにあるSNSも、協力する分にはデメリットは比較的、少ないので(自社のサービスを使ってくれるフロントが増える)、どんどんfacebookに協力します。ただし、facebookでそのサービスを使ったユーザーは自社で使ってくれたかもしれないので、その点では自前ユーザーを獲得する機会を損失したことになりますが、まぁ誤差の範囲でしょう(確率の問題から)。
また、SNSでは個人情報を持ってしまうリスクの大きさが懸念されていましたが、facebookがユーザー情報をもってくれているとそのリスクさえもヘッジできます。これは大きいのでは?
そして、それらのコンテンツ利用者が増えれば、よりアクティブユーザーは増え、Facebookの参加者も増えます。で、SNSの傾向としてプラスのスパイラルが起こり、パートナー企業はさらに増えていくわけです。
(ふと思ったんですけど、他者のプラットフォームの上で事業で行うという事例はいくつもありますが、最近ではセカンドライフと構図としてはちょっと似ているのかも、と思いました。)
このような状況が「ソーシャルOS」のような世界になってくるのではないでしょうか。(ただそうなるとfacebookのアカウントがソーシャルセキュリティナンバー(国民背番号)のような重みをもちはじめるのも怖いなぁ、と思ったりもしますが、それもまた別の話)。
■では日本は?
で、対して日本。SNSでAPIを公開しているところは少ないですよね(若干程度)。そして、プロフィールページにもウィジェットを組みこむことはNGなところが多いです(ちなみに海外ではこのSNSのプロフィール用ウィジェットだけで大きな市場ができ初めていますが)。
そう考えると、Facebookのオープン性に対して言うならば閉鎖的であると言えるような気がします(良いか悪いかは別)。
しかし、逆に考えれば、このようなオープンなSNSが出てくれば、今の日本のSNS図を逆転できる可能性があるのかもとか思ってみたり。
たとえば思いつきですがコトノハやメリットデメリットのコメントを日記と連動させたり、デート通.jpやドコイクで友人のデートスポットとかよく行く飯屋をのぞき見たり、意外なところ、たとえば老人ホームマップやアニメウォッチと組んでバラエティを増やしてみたり。
日本とアメリカでは背景や土壌も違うのでなんとも言えませんが。逆に、facebookが日本に来ると、どうなるか少し気になってみたり。
■終わり
ともあれ、今回のFacebookの動きは上記の点から気になる動きでした(個人的には)。
今後、SNSはもはや「招待制度かどうか」「クロールされるか」などのオープン性よりも、上記のオープン性を問われるものになってくるのかもしれません。
そして、その決断がSNSの世界を変えてしまうようになるのかも、とおもった一件でした。
原田
このエントリーのトラックバックURL:
http://socialnetworking.jp/b/mt-tb.cgi/3456
