2007年07月10日

●セカンドライフで成功するかスイスコムの「関西商法」

 テレビ局進出の次はNTTドコモが進出したり、大手携帯電話会社による「島」の買占めなどが噂されるセカンドライフですが、日本語化がリリースされる今年の秋ごろからは物販を含む色々本格的な商戦が始まると考えられます。仮想社会で成功するビジネスは、間違いなく関西商法でしょう。
 
 セカンドライフのようなメタバース系は、リアルタイムSNSと考えられます。ネット上で時間と空間を共有する仕組みは、フレンドスターなどに欠けていた部分ですから。社会学上のソーシャルネットワークの定義から言って、非同期の仕組みだけをSNSと呼ぶとすれば、これは目線が低いですね。

関連記事は以下の通りです。

▼「セカンドライフでぼっ発するか“ばら戦争”」

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/yamazaki.cfm?p=1

関西商法の特徴は「複数のペルソナの組み合わせ」にあります。一度でも日本企業で営業を担当された方はご存知ですが、日本の営業の主流である関西商売では、いきなり「ビジネスや商談に入る」ことはありません。まず世間話をしたり、ゴルフの話や家族の話、高校野球やサッカーの話をして、それからおもむろに商談に入ります。

ペルソナ1 まずお互いが友達の関係になる。

ペルソナ2 その後、商売の相手になる。

 いわば二つのペルソナを組み合わせています。

グローバル社会と言う市場経済万能の時代には一見、時代遅れかもしれませんが、この関西商法がセカンドライフで注目されています。

でもまずその前に映画「釣り馬鹿日誌」の「浜ちゃんとスーさんの関係」を考えて見ましょう。鈴木建設の社長がスーさん、駄目社員が浜ちゃんです。それが釣りでは師匠の浜ちゃんと弟子のスーさんと言う風に関係が逆転します。ちょっとこれを覚えて置いてください。

さてスイスのNTT(通信、携帯を含む電話、ISPサービス)に相当するスイスコムは、セカンドライフに進出し、花屋とチョコレート屋を通信販売で始めました。

そのビジネスモデルが今世界中から注目を集めており、ちょっと面白いので紹介します。


1、 仮想社会で恋人同士のロメオはジュリエットに花束を贈ります。
 その時スイスコムのサービスを利用する訳です。

2、 仮想社会で花を受け取ったジュリエットは喜びます。

3、 その後でリアルジュリエットは、花をクリックして住所を打ち込みます。

4、 数日後、花が届きリアルジュリエットも喜びます。

 同じことはスイスチョコレートでも可能です。


 さてこれ完全な関西商法です。

 これまでのセカンドライフの物販失敗事例は、アバターにいきなり現実の商品を売りつけるアプローチが嫌がられる為です。アメリカンアパレルなどがこれで失敗しました。

だって釣りを楽しんでいる浜ちゃんとスーさんにいきなり鈴木建設のビジネスの話をもって言っても嫌な顔されて終わりですよ。彼らは釣りを楽しんでいます。それは仕事のペルソナとは異なります。

浜ちゃんとスーさんと商談をしたいというセールスマンが関西商法に従えば、必ず釣りの話からアプローチして友達になります。その結果、自然に別のペルソナであるビジネスの話に進みます。

今回のスイスコムのアプローチは、この関西商法と類似しています。


mixiでも同じことが起こっています。タブレット菓子のピンキーモンキーは、お菓子のキャラクターとの友達申請のアプローチにより多数のファンを獲得し、プロモーションコストを抑えることが出来、大成功しました。映画「x-men3」はマイスペースにキャラクターとの320万人の友達の輪を作り、売り上げ目標を大きく上回る成功を収めました。仮想の関係から入って現実の関係に繋げると言う二段階アプローチが功を奏しています。


またmixi上ではネットで知り合った同士が「お誕生日のメッセージを交換」しあったり、出会ったことが無いニックネーム同士の関係を楽しんでいます。これに仮想の贈り物としてのIMメッセージと現実の贈り物を組み合わせると上記の花の事例になりますよね。


相手がアバターであれ、キャラクターであれ、ニックネームの付き合いの相手あれ、元来ネットの付き合いには現実社会と異なる「別のペルソナ」の要素があります。例え実名を使っていても「ネットの私と現実の私」は表現が異なります。実名を使っているテレビタレントが、スターの顔と素顔と両方を持っているのと一緒です。


セカンドライフであれ、mixiであれ、ネット上の関係性を活用した新しいビジネスのアプローチには、ペルソナと言う視点での関係性アプローチ理解が必要だと考えられます。さもなければ従来の時間節約型、効率一辺倒型のネット通販と何ら代わり映えが無く、ネットの仮想性などを活用する意味が無いでしょう。


 さて筆者は上記のアプローチは相当流行ると思っています。わくわくしますね。


 日本ナレッジマネジメント学会 専務理事 山崎秀夫

Posted by sns at 2007年07月10日 11:17
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