2008年04月11日
●ネット上のキッズテーマパークは21世紀のウオルト・ディズニーになれるのか
今年4月初めニューヨークで行われたVirtual Worlds 2008 に参加して来ました。今回の内容は昨年までと様変わりでした。主役は子共達から10代後半のキッズの仮想社会サービスです。
基調講演の最初は、なんと大成功を収めているお人形の「バービー」ですよ。まるで一昔前のデズニーランドを思わせる風景ですが、ネット上でのテーマパーク造りは成功するのでしょうか?
★ Virtual Worlds 2008
http://www.virtualworlds2007.com/
スポンサーからセカンドライフが下りており、非常に影が薄くなっています。一方、子供達の仮想社会サービスは参加者数が1、000万人を超えたものが三つ四つあり、既にキャズムを超えてアーリー・マジョリティの段階に入っています。
これはさながら1950年代に出来たディズニーランドを思わせる光景でした。
★ 台頭するキッズの仮想社会サービスは現代のテーマパーク
三大大手のサービスは以下の通りです。
1)クラブペンギン 1,300万人
http://www.clubpenguin.com/
2)ハボホテル 1、000万人
http://www.habbo.com/
3)バービー 1,100万人
http://barbie.everythinggirl.com/
http://www.barbiegirls.com/home.html
☆Could Barbie Girls Become The Largest Virtual World?
http://www.techcrunch.com/2007/07/15/could-barbie-girls-become-the-largest-virtual-world/
その他数百万人規模のものが10幾つもあります。
特にバービーは、昨年4月に立ち上がって以来、一年間で1,100万人の参加者を獲得しました。物理的な人形の販売が次第に落ち込む中、一方でライバル企業のお人形の仮想社会サービスが伸びており、Mattel: Barbieとしては満を持して仮想社会サービスに進出しています。

Barbieを例にとるとキッズ用仮想社会サービス内容は以下の通りです。
A) ファッションプレーやビューティプレー
これはキャラクターをアバターのように活用して髪型や衣装を取り換えてファッションセンスを競う訳ですね。
B) ソーシャルプレー
お友達をどんどん作って、なかよしを増やす遊び方です。
C) クリエーティブ・プレー
お部屋を飾ったり、整理整頓したり。ままごとですね。
D) ペットプレー
ペットを飼って可愛がってと言う遊び方です。
E) ファミリーの価値観重視
物理世界での知り合いで無い相手は部屋に入れないなど両親と会話しながら一緒に楽しむ形を取っています。ゲームの中でとりわけ母親と子供との会話を促進する訳ですね。他にお買いものなどのビジネスプレーも。
総じてA)からD)はセカンドライフの女性の参加者にもそまま当てはまる内容であり、かけているのは「デートプレー」位でしょうか。
筆者が注目しているのは家族と共に「子供の成長や発達」に重点をおいてプログラムが組み立てられている点であり、中でもファミリーの価値観を重視している点です。
★ 初期のディズニーランドそっくり(温故知新)
これは1950年代にウオルト・ディズニーがディズニーランドと言うテーマパークを立ち上げた時のコンセプトにそっくりと言えます。当時ウオルトも子供たちの健全な成長とファミリーの価値観を非常に重視していました。
ディズニーと言えばその主体は「アニメ映画」ですが。(その他冒険ものや自然映画)
ディズニーアニメ映画の中では小鹿のバンビが生まれるとミミズクのおじさんが皆に知らせたり(ソーシャルプレー)、バンビが髪飾りを付けたり(ファッション・プレー)、ライオンキングの家族が登場したり(ファミリー・プレー)していたのを覚えておいででしょうか。
こうして子どもたちは映画や絵本、更にテーマパークの中で「社会の勉強」をしていました。それを今度は仮想社会サービスの中で社会勉強をやろうという訳です。
それをディズニーランドはテーマパークとして=物理的な仮想社会として表現していました。そして子供たちは家族と共に訪問し、ミッキーマウスと握手したりサインをもらって喜んでいました。
当時、経営トップのウオルト・ディズニーは、ABCテレビを使って自らテレビに登場し、家庭重視、ファミリー重視の価値観を全世界に訴え、ディズニーランドを宣伝していました。これが日本でもお馴染みの「お伽の国の世界」=ディズニーワールドのテレビ放送ですね。あのファンタシーに満ちた、柔らかなテーマミュージックをやウオルトの慈愛に満ちた語り口を覚えていらっしゃる方も多いと思います。
それ=「お伽の国の世界」が2008年現在、ネット上のテーマパークとして再現されようとしています。お人形やキャラクター、絵本やアニメの中のお姫様や王子様、そして動物たちが今度はアバターになるわけですね。
だからMattel: Barbieや多くの番組を仮想社会に持っていって10代後半から20代前半の女性の支持を得ているVMTVは「最大のライバルはディズニーだ」と叫んでいます。ディズニーもまた約10の仮想社会サービスを準備しています。(既にクラブペンギンを買収済み)
技術的にはこれらは全て2Dや2.5Dと言われるブラウザー中心のサービスです。3Dが部分的には受け入れられる一方、汎用的なITインフラとしては特別のビューアーやグラボーの不要な「ブラウザー中心」アプローチが見直されています。(但し、これは数年内に逆転すると思いますが)
★ 次は大人の仮想社会サービス=テーマパークへ
嘗て50年代の子供用のテーマパークの台頭は、アメリカ西部の破壊的側面を代表する大人のテーマパークであるユニバーサルのなどへと繋がりました。そしてハーゲンダッツカフェのようなテーマレストラン、更にスターバックスのような経験マーケティングへと広がりました。
今後、2009年2月の米国におけるテレビのデジタル移行の完了を経て、ネット上に誕生した言わば「新しいディズニーランド」は、大人のテーマパークへと発展するでしょう。
IT技術の進歩の中で2009年から2010年頃には、再度、セカンドライフなどの3Dの世界が技術の普及とインフラの整備の観点から主流として帰ってくると考えられます。
仮想社会サービスの進歩を考えるに当たってディズニーランドが切り開いた物理的テーマパーク=経験マーケティングの進歩の歴史を参考にしよう。
日本ナレッジマネジメント学会 専務理事 山崎秀夫
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