2008年10月14日

●クラウドソーシングというトレンドに関して

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先日、仕事と才能を結びつける「アポロン」というサービスをリリースしました。今回は、そのクラウドソーシングに関して少し。

SNSのブログにすいません!ただSNSの概念も絡んでいますのでご容赦くださいませ。

» » クラウドソーシングサービス アポロン

■クラウドソーシングとは?

これは、クラウドソーシングというサービスの一環で、知識や仕事、才能の売買ができるコミュニティサイトのようなものです。

これのプランニングに着手したのは2007年の春ごろだったでしょうか。その前後から、クラウドソーシングという言葉が注目され、またwikinomicsなどの概念も現れ、「個人の力の活用」というトレンドと新しい雇用形態(インディペンデントコントラクターなど)が動きを見せてきました。それ以来、18か月ほどしらべていますが、海外では、肌感覚的に200~300以上のクラウドソーシングサービスが生まれているような気がします。もっともこの中にはサービス自体が「クラウドソーシング」と称していないものもありますが、恐らくそれはSNSと同じ話かと。(SNSといってなくてもSNSのようなサービスは数多くある。ただクラウドソーシングのほうがわかりにくい点はありますが)。

日本において、クラウドソーシングの名前は昨今ではインターネット上でも耳にすることが増えました。本などでも出版されていますし、各種ウェブの辞書では紹介されていることも。しかし、「いまいちピンとこない」という話をよく聞きます。

cf:実は意味を知らないビジネス用語、1位は「クラウドソーシング」


■クラウドソーシングとwisdom of crowds

定義も様々で、まるでSNSを定義することが難しいように、クラウドソーシングも定義をすることが難しげです。ただ、個人的認識では「今まで特定の企業や人に依頼していた案件を、不特定多数の人にアウトソーシングすること」というような認識をしています。

ただ、その場合「Q&Aサイト」などと何が違うの?という話がでてきます。実際、クラウドソーシングは「群衆の知恵」を使うこと、と考えられる場合がありますが、「群衆の知恵」それはあまりにも広い意味で、それはどちらかというと「wisdom
of crowds」に近い気がします(というかネットのコンセプトがそれにあたりますし)。たとえば、掲示板やQ&Aサイト、wikiサイト(同時にソーシャルブックマークや検索も該当するかと)などでしょうか。それに対し、クラウドソーシングは「今まで特定の人に依頼していた業務を別の形でアウトソースする」という点があり、その視点から考えると、旧来の「群衆の知恵活用サイト」はクラウドソーシングとは似て非なるものだと考えられます。もっとも、2ちゃんねるで昔話題になった「電車男」などは、クラウドソースのコンセプトに近いものを体現しているような気もしますが、これはまた別のお話。

またクラウドソーシングの別の定義として「安価で投げることができる仕組み」という定義もありますが、海外の事例をみていると、必ずしもそうとは限らない気がします。というのも、そもそもクラウドソーシングと呼ばれるサービスのシステム自体に「安価になる」仕組みが組み込まれていない場合もあり、そういう傾向があることもある、くらいが妥当な言い方でしょうか。

■クラウドソーシングが意味するもの

このクラウドソーシングのマクロな意味(ウェブの新しい動きとして)での特徴としては「オフラインの作業をオンラインを使ってレバレッジを効かせる」という点になるかと思います。以前のバズワードであった「Web2.0」がユーザ参加型の世界を意味するならば、その次に待ち受けているのは「オフラインを起点としたユーザ参加型のコミュニティ」があるような気がしています。つまり今までのコミュニティサイトはネット上で完結するものが多くなる傾向にありましたが、今後は「オフライン」の作業をうまくネットを使って展開させることができるという点がより重要になってくるのではないかと。その1つのキーがクラウドソーシングだと思っております。

また蛇足ですが、日本のコミュニティサイトは「オンラインで完結するもの」が非常に多く、オフラインを関係させたものが少ない気がしています。対してアメリカを代表とする海外では、meetupやupcoming.org,eviteなどのイベント系や、ボランティア、行政、エコ、寄付などのアクションをサポートするコミュニティなど、オフラインの活動を豊にするための存在としてコミュニティサイトがいろいろ利用されている気がしています。それを個人的には「ソーシャルメディア」と呼んで、コミュニティサイトとの区分を計っている次第ではありますが。そういう意味で、このクラウドソーシングは、そのような「ソーシャルメディア的側面」を強く持つサービスで、今までと少し違ったおもむきがあると考えられます。だからこそ逆に日本での受け入れられ方の違いはでてきそうですが。

また、このクラウドソーシングが意味するものは、企業の開発・雇用・研究形態の変容です。たとえば各種の本にもあるように、P&GやIBMなどの大企業がR&Dなどの一部をクラウドソース化している事例もあります。あるいは、バグチェックやカスタマーサポート、商品開発などをクラウドソースで外部に投げることもあります。このように、クラウドソースは単にユーザ間ではやるだけでなく、企業のあり方が新しくなるのと平行して生まれてきている気がします。

海外のクラウドソーシングの代表的なサービス(というか初期に注目を集めたサービス)としては、amazonのMechanical TurkやiccocentiveCambrian House(売却した気が?)などになります。独自の仕組みを持ったものやターゲットをしぼったもの(バグチェック、飲食店など)など数多くあります。

日本では、ロゴ制作に特化したC-teamさんやソーシャルレンディングのmaneo(マネオ)さんなどがスタートされていますし、過去には、空想良品やトリンプの携帯SNSを使ったユーザ参加型下着開発などの試みなどいくつかでています。

■ビジネスSNS

またこのアポロンは、ビジネスSNSへの試みという思いも入っています。日本でLInkedInのようなビジネスマッチングのSNSはずば抜けてユーザを集めているところはまだ難しいのが現状です(もちろん可能性をもったサービスは数多くありますが)。それは日本が転職の文化が少なかったり、個人業務請負人が少ないからなどの理由があるかと思います。そのため、転職などを考えている人以外の人には「使わなければいけない」というモチベーションが低くなる傾向にありました。そこで、今回はビジネスSNSにおける一つの試みとして「プロジェクト」を通じたコミュニケーションを軸にしたビジネスSNSのような繋がりの可視化ができないかと思っている次第です(今はまだそのあたりの機能は弱いですが)。

■アポロン生誕への思い

このアポロンの開発した背景には「個人や法人が持つ専門性を、社会に提供できる場を作りたい!」という思いがありました。周りを見ていても思うのは、専門性はどんどん多様化しているなぁ、という当たり前といえば当たり前の事実でした。

たとえば、ウェブで言えば、SEO1つとっても、「○○業界に強い」「この検索エンジンに強い」「携帯に強い」などのような得意分野があったり、パッケージ、コンサルティングなどの提供方法の違いや一律や成果報酬など価格形態が違ったり。SNSも「C向け」「B向け」だけでなくもう1レイヤー下の「C向けSNSの戦略設計」というもう1つレイヤーが別の専門性があったり。それこそ脆弱生対策なんてのも最近、大きく需要が高まっているものですし。もちろんウェブ以外でも「弁護士や会計士の専門分野」などはますます多様化していますし、各種の大企業の吸収合併、ないし事業部の切り捨てなどを見てもわかるように法人も特化への動きが大きくなってきている傾向にもあります。

また、従来は「ビジネスにできなかった才能」というのも数多くあり。たとえば「鉄道オタクの方」は数多くいますが、それらをビジネスにするには、よっぽど秀でてメディアなどへの展開が欠かせませんでした。しかし、ニーズが多様化している昨今では「そのような才能をお金を出してでも買いたい」という人もいるのではないかという思いがあります(難しい側面ももちろんあるとは思いますが)。そしてそのような特化した知識だけでなく、他にも引退した「物理学者さんの知識」や「インドの刑事法に詳しい方」「Diggのマーケティング手法」などなど、非常にニッチな、でも強いニーズがある専門性というのは世界にいろいろありまして。そのような今まではビジネスにしにくかった知識や才能などがビジネスになると素敵だなぁ、という思いもあります。

そしてニーズもB2BやB2CはいうまでもなくC2Cにおいても「マルチーズの散歩を代行して欲しい」「結婚式の動画を急ぎで作って欲しい」「アラビア語の手紙の書き方を教えて欲しい」「近所でベビーシッターできる人を探している」「急ぎでパソコン修理してほしい!」「教室ではなく個別でカメラの撮影の先生を探している」など多様化している肌感覚がありまして。そのような案件や専門性の多様化している昨今では、それらを最適にマッチングする仕組みがあるといいなぁ、という個人的思いもあり、ここにたどり着いたわけです。

■個人の隆盛

そして、何より今後は、社会において「個人の活躍」がますます重要になってくると感じていて。それは昔から言われていることですが、昨今はとみに。たとえば、昨今においては、ネットの普及により、イーランサーやフリーランサーが増えていて。もちろん独立インフラの普及(知識や各種制度、アウトソーシングビジネス)もあり、それらによってインディペンデントコントラクター(個人業務請負人)などの個人で仕事する人も増えています。そして、女性やシニアの方の社会進出、はたまた、年収300万円時代と言われている昨今における副業や兼業の増加。それらを考えると、個人の活躍の場が広がっていると同時に、少子化となる日本において、そのような個人の活躍はますます必要となってきています。

そのような個人や特化した法人が活躍できる場を提供できる場をアルカーナは目指しておりまして、いわば「才能を切り売りできる場」を目指しています。

そのような中で、今回のアポロンが生まれました。コンセプトを含め、いろいろ悩みましたが、現状では一番オーソドックスな形になっているかと思います。現状は、理想形の2割程度の実装ではありますが、今後はユーザの方々の動向やレビューを受けて、日本ならではのクラウドソーシングの仕組みを整えられればと思っております。

■お知らせ

ということで、最後に少しPRをさせてください。アポロンではアポロンの開発を手伝ってくださる方を募集中です。Rubyとなりますがご興味ある方は、ぜひご連絡を頂ければ幸いです。

» クラウドソーシングサイト「アポロン.jp」のプログラマー求人/アルカーナ株式会社 | 求人情報 Find Job !

■感謝

そして、このアポロンに関しては多くの人の助けによって成り立っております。ここで少しスタッフロール的に感謝を込めて。

まずメインで開発してくれたのは城崎氏。こちらの無理なお願いも神速で対応してくれました。そして、プロトタイプの段階やサーバ周りでは、ロケットスタートの水波氏にとても助けてもらいました。デザインでは、S見さんに。いきなり大阪まで押し掛けた上に鬼のスケジュールにも関わらず華麗に対応してくれました。そしてパートタイムで助けてくださったかたがた、同時にリリース前に数多くの方にアドバイスやレビューなど協力して頂きました(迷惑かかるとあれなので実名をあげるのはさけますが)。けんすうやワイアードのあきひこ氏はアルファ段階からアドバイスをもらっていました。他にも独立時にはずっとブレストにつきあってくださったかたがたをはじめ、膨大な方々のご指導や知見により、なんとかリリースまでたどり着くことができたという次第です。そして何よりアルカーナの皆皆!まだまだはこれからはではありますが、まずはありがとうございました!

加えて、ブログなどでご紹介してくださった方、本当にありがとうございます。また改めて一覧にさせていただきますが、まずは大いなる感謝をば。

まだまだこれからの業界ではありますが、尽力する限りです。何卒宜しくお願い申し上げます。

» クラウドソーシングサービス アポロン

原田

Posted by sns at 2008年10月14日 08:33
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