2009年09月11日

●マイクロペイメントの時代にグーグルは一流の新聞販売代理店になれるのか?

 構造不況に喘ぐ米国新聞協会の求めに応じて、グーグルが電子新聞有料化への協力内容をラフアイデアと言う形で発表しています。グーグルは電子新聞有料化をビジネスチャンスと捕らえており、「販売代理店及び決済代理店になれる。新聞の販売促進広告を支援する用意がある。」と言った内容です。米国新聞協会はグーグルなどの検索エンジン提供企業を「新聞社から電子新聞広告を無料でかっさらう悪い相手」と目の敵にしていたはずですが、両者は存外仲が良いようです。


紙の新聞の発行部数がどんどん減り、広告費がインターネットシフトする中で(米国の2009年の紙の広告費は一般に2割―3割減の予想)、米国では新聞社の倒産や電子新聞への衣替えが相次いでいます。

音楽業界や作家協会のように「グーグルは著作権違反だ!!」と騒がない処がまだ米国新聞協会は大人ですが。まあ今回は著作権の話しでは無いので。

グーグルは「オープンとはコンテンツの無料化を必ずしも意味しない」と主張し、新聞販売、読者との決済業務、また新聞販売の為の広告を是非、支援したいと言っています。

グーグルは新聞のマイクロペイメント(マイクロ取引)も支援するとも言っています。流石に仮想通貨の発行までは言及していませんが。もう直ぐ記事1本が10円の時代が来るからですね。(売り上げの3割位手数料を求めているようですが)

米国新聞協会は「グーグルからの広告収入を引き上げるように交渉する」と息巻いていたのに、グーグルの答えはもっとクールですね。

★★ Google Micropayments Coming: Can It Save Newspapers?
http://mashable.com/2009/09/09/google-micropayments/
★★ Google's proposal to the Newspaper Association of America
http://www.scribd.com/doc/19587187/Googles-proposal-to-the-Newspaper-Association-of-America
★★ Google developing a micropayment platform and pitching newspapers: “‘Open’ need not mean free”
http://www.niemanlab.org/2009/09/google-developing-a-micropayment-platform-and-pitching-newspapers-open-need-not-mean-free/

★★グーグル、新聞社向けに小額決済システムを開発中

 http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20399826,00.htm

<米国新聞協会は何故検索エンジン企業を目の敵にするのか>

 まあこれは日本でもyahooなどが対象となっていますが、新聞社から見ればグーグルなどの検索エンジン運営企業は、新聞社が苦労して作り上げた「工業製品である新聞記事」をある意味で無料に近い安い料金で使って「ネット広告費」をかっさらう社会悪と映るようです。

しかしインターネットの上ではトラフィック量は圧倒的にグーグルなどが上であり、ある意味で現実社会のマスコミは、インターネット上ではマスコミではありません。新聞社がマスコミと呼べるのは紙の世界だけな訳ですね。

その結果、検索エンジンにより記事の束が分解され、個々の記事に対してブログなどと同等のトラフィック量に応じた広告料金が支払われる理屈になります。

紙の新聞の場合には広告スペースに限りがあるので単価上昇がありえますが、検索の世界では広告の棚は無限ですので、同様の単価上昇はありえません。

また新聞記事の約2割が読まれ、8割が無視されるという見方もあります。紙の場合には「この新聞=記事の束」には「1000万部や800万部の読者がいるんだ!!」と言う主張が通ります。だから高い広告費が取れるわけですね。

でも検索エンジンにより分解された記事単位では、実際にクリックされた記事にしか広告料金は支払われません。(それだけで新聞の広告収入は8割減る理屈になります。)またブランドの幻想と言う暗示効果も消える為、全体の新聞社の見入りは少なくなります。その上でグーグルなどに広告費の多くを持っていかれているので新聞社は焦っている訳ですね。(一般に電子新聞の広告収入は紙より一桁下がると言われている件の謎解きですが。)

<グーグルは一流の新聞代理店になれるのか>

 確かにグーグルはインターネット上では「月次で約8億人」も訪問するマスコミですから、電子新聞有料化の時代には、有料販売及び決済代理店に成長する可能性があります。

しかしそれで電子新聞が儲かるかと言うと相当疑問です。フランスだけでなく米国でも「新聞は非営利の教育機関化しろ」と言う法案が提出される時代ですから。

日本でもこの件は人事では無いですよね。
★★Newspapers could get nonprofit status
http://www.boston.com/business/articles/2009/03/25/newspapers_could_get_nonprofit_status/

日本ナレッジマネジメント学会 専務理事 山崎秀夫

Posted by sns at 2009年09月11日 11:33
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