2010年02月08日
●<ソーシャルテレビ> USTREAMはほんとに無敵なのか?
ソフトバンクが資本・業務提携した「USTREAM + twitter」の組み合わせで日本のソーシャルテレビは本格的に立ち上がります。ちょっと前でしたらこれでほぼ国内の市場争いの勝負は決まったのですが、今回の「USTREAM + twitter」の連合は果たして無敵なのでしょうか?
インターネットの第二の波のみならずインターネットには「バンドワゴン効果」が強く働くと言われています。判り易く言えば最初に勝ったところが顧客を全て奪い取ると言う法則です。確かに日本のmixiやYouTubeの場合にはこの法則が非常に明確に働きました。
では「USTREAM + twitter」にも同様の法則は働くのでしょうか?
面白いのは当時とちょっとネット上の社会環境は異なる点です。現在は例えばスーパーボウル広告から撤退したペプシコーラも参加したコカコーラも、米国の先進企業のマーケティングは全てクラウド(フェースブックやtwitterなどの巨大なネットを介したコミュニティ)上で展開されようとしています。自社のWebサイト上での自前主義は放棄されているのが新しいトレンドです。(ソーシャルメディアマーケティング重視)
その典型例がフェースブックコネクトなどを駆使したソーシャルゲームのzyngaやplyayfish、rockyouなどな訳ですね。これはクラウドの大衆をプラットフォームとした宿木戦略と考えられます。この宿木戦略の場合、参加者の所属意識はフェースブックやツイッターなどのプラットフォームの方に強く働き、宿木の方にはあまり働かないと考えられます。判り易く言えば他社からの新規参入に対する乗換えが容易だという弱点があります。ustreamは明らかに宿木戦略を取っています。
またUSTREAMの広告モデルは生活者やお金のない企業には最高のサービスですが、黒字化の見通しがずっと先になるというYouTubeと同じ悩みがある点も弱点です。
ソフトバンクとすれば資本投下の分は別として、USTREAMでiphoneと共に自社の携帯電話サービスに付加価値が付けばそれで良いのでしょう。リスクを負わない代理店ですから。
Youtubeもニコニコ動画も自前のコミュニティを立ち上げていました。(この場合、参加者の所属意識は強い。)一方USTREAMはフェースブックやtwitterと連動して初めて参加者が増えました。したがってUSTREAMの参加者5千万人の帰属意識は「半分はフェースブックやtwitter」の方にあります。そもそもUSTREAMのようなソーシャルテレビがブームになったきっかけはオバマ大統領の就任式でフェースブックとCNNが実施したテレビのソーシャル視聴に有りました。それを見てUSTREAMはフェースブックやtwitterからコメント投稿できるよう宿木戦略を採用して急速に伸びた訳ですね。
フェースブックやtwitterを解してUSTREAMと同様なサービスが新規参入すれば、魅力さえあればクラウドの大衆はいとも簡単に動くでしょう。丁度、欧米ではLIVESTREAMがUSTREAMと企業向けサービスで競い合っているように広告モデルでお金が係り、収益見込みが当分たたない「USTREAMのサービスをデモセンターとして活用」する訳ですね。
Zyngaやplayfish、rockyouなどフェースブック上のソーシャルゲームを見れば、個々のゲームの面白さやテーマ性でフェースブックの参加者はあちこちのソーシャルゲームを使い分けています。これは何やら大学受験生の塾の使い分けに似ています。英文法は○○ゼミナール、英作文は○○塾と言ったようにフェースブックやtwitterからすっと入っていければ、企業や生活者が提供するライブストリームのテーマによって、クラウド大衆はライブストリームサービス企業がどこかなど気にせず動くと思われます。
ソフトバンクのUSTREAMに対してKDDIやNTTドコモが黙っているとはとても思えません。IPHONEで出し抜かれた経験もありますし。
丁度、mixiが企業内SNSサービスに進出を躊躇い、広告モデルに固執していた頃、ビートコミュニュケーションらの企業用SNS事業者は、暗に「mixiのサービスの企業版、高級版を弊社のサービスでやりましょう」と言うメッセージを市場に送ってマーケティングに成功しました。顧客企業からはMixiはデモセンターと看做された訳ですね。
同じことがUSTREAMにも言えると思われます。欧米で企業による自主放送やテレビ局との連携ビジネスでUSTREAM と競っているLIVESTREAMは、USTREAMをデモセンターと考えています。こうすれば無料のサービスで赤字に喘ぐ悩みが解消します。
今後国内でも同じことが起こると考えられます。
さあどうなるのでしょう。面白くなってきました。
日本ナレッジマネジメント学会 専務理事 山崎秀夫
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