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セカンドライフはビジネスに役立つのか?


 2003年から米国でサービスが開始されたインターネット上の3次元仮想社会サービスのセカンドライフが日本でも注目されています。セカンドライフの提供する仮想社会では、一般参加者はアバターと言うネット上の人形のような「分身」を使って、街を歩いたり、他人と出会ったり、イベントに参加するなどの楽しみ方が出来ます。また土地を買って建物を建てたり、色々な道具を作って販売することが出来るサービスです。リンデンドルと言う一種の電子マネーを使った取引が盛んです。このリンデンドルは現実の通貨(米国ドル)に換金できます。2007年3月現在、約400万人を越える参加者がいます。本家の米国では多くの大学と共に多くの企業が参加しています。
2007年の4月頃から日本語サービスが始まると言うので、我が国でも「セカンドライフ・ラッシュ」と呼ばれるほど、一部の企業とマスコミがちょっと加熱気味な動きをしています。一方、肝心の生活者、即ち消費者の参加はまだこれからと言った状況です。(日本からの参加者は2006年末で約1.5万人程度)
サービス技術として見た場合、セカンドライフは三次元(3D)と言う点に注目すべきでしょう。
SNSのミクシィも動画サイトのYouTubeも二次元(2D)です。若者は三次元(3D)サービスのどこに引かれているのでしょうか?
セカンドライフは主にマスコミ離れの波を背景としてマーケティングの面から注目されていますが、果たしてビジネスの役に立つのでしょうか。本日はこの点を考えて見たいと思います。
● 企業の進出ラッシュ
デジタルハリウッドなどのベンチャー系企業は一般企業に対するコンサルティング・サービス目的のセミナーなどに力を入れています。
 また大手の有名広告代理店がセカンドライフの研究会の立ち上げを発表するなど熱心なこともあり、NTTドコモやブックオフなどの日本企業も仮想パビリオンや仮想のオフィスをセカンドライフ内に立ち上げています。SNSサービスのミクシィ(mixi)は、期間限定で2008年の新卒者の募集をセカンドライフ内で始めました。
この動きにマスコミが刺激され、ある意味で焦っている訳ですね。
● 生活者(消費者)への普及はまだこれから始まる
 既に参加者が約400万人近くも居ると言うセカンドライフですが、毎日参加する人々や恒常的に参加する人々の数はまだ多くありません。恒常的な参加者はまだ全体の1割程度と言う報告もあります。セカンドライフには1ヶ月のアクセス者数が出ていますが、急激に増加中の新規参加者を含めても100万人程度でした。
セカンドライフにはサーバー単位で島(アイランド)がありますが、大抵、どこの島もまだ閑散としています。ですから本格的なサービスは未だこれから充実されるものと思います。
その理由としては、「セカンドライフのソフトが動くためにはビデオカードなど結構、高級なフルスペックのパソコンが必要となる」、「アバターの操作法などが複雑」、「楽しみ方が明確になっていない」などが上げられます。実際、SNSのミクシィ(mixi)やブログがインターネット上で圧倒的な支持を受け、大流行したのは、「操作が簡単であり、老若男女誰でも手軽に使える」と言う明確な理由がありました。IT技術が社会に急速に普及するに当たって「シンプルなものがベスト」と言う単純な経験則が働いた例だと思われます。
また道具と言う意味では、値段の安い「携帯電話からでも気楽に使える」と言う点も大きかったと思われます。一方セカンドライフには携帯電話はおろか、通常のスペックのパソコンですら使えないものが多いと言う訳ですね。
一方、セカンドライフは高級な道具(パソコン)と遥かに高度な操作性が要求されています。サービスの開始時期が2003年であり、ビジネス界が注目したのが2006年と遅いのもそう言った理由が背景にあると考えられます。
この手のサービスに社会が馴染み、普及するのには時間がかかります。従って日本国内でもセカンドライフのような仮想世界のサービス普及は、時間がかかると考えられます。
● ビジネスの可能性を少し長期的に考えよう
 2007年の春の時点では、焦る企業参加者とクールな一般参加者と言う対比がある訳ですが、筆者はマイクロソフトの新しいOSであるウインドウズ・ビスタの普及と共に参加者数は漸増するのではないかと考えています。
一方、仮想世界の要素を持ったアバター中心のSNSサービス、「モバゲータウン」は、国内でも既に参加者数が数百万人に上っています。携帯電話によるサービスの為、10代の若者を中心に浸透しており、サービスを提供するDeNAも収益面でかなりの収益を上げています。
「モバゲータウン」はセカンドライフに比較して遥かに簡単なサービスですが、仮想社会のサービスが我が国でもビジネスの可能性を持っている証拠だと筆者は考えています。
● セカンドライフ型サービスの長期的な可能性
1) 各種マーケティング
 現在、ブログやSNS、動画投稿サイトなどのソーシャルメディアが盛んにマーケティングに活用されています。現在、セカンドライフに参加している多くの企業は、同様の効果を狙った試行を目的としていると考えられます。筆者は恒常的な参加者の数が増えれば、一部の企業が試みているプロモーション・ビデオなどが効果を発揮してくると思います。
★注目は三次元(3D)サービスによるネットイベント
筆者が注目しているのはセカンドライフ上でのネットイベントです。これまでSNSなどのサービスでは、参加者が一同に会するシーンはネット上には準備されておらず、対面でのオフ会しか有りませんでした。日記にコメントを残して後はインスタントメッセージングを送りあうだけと言う二次元サービスのSNSとは、セカンドライフの三次元(3D)サービスは、迫力が違います。
例えば2006年12月初には、セカンドライフ上にニューヨークで有名なロックフェラーセンターの仮想クリスマスツリーが作られ、本物のクリスマスツリーの点灯式のテレビ中継に合わせてセカンドライフ内でも点灯パーティ(米国テレビNBCが主催)が行われました。この時には現在のシミュレーション技術の限度である約1,000人の参加者を集めています。これまでセカンドライフ上で試行されたネットイベントは、結構、面白いものになっています。
セカンドライフ上の日本人街アキバ(秋葉原を模した仮想都市)などでは、仲の良い「群れ」がたむろしてチャットを楽しんでいます。
その内、日本でもミクシィ(mixi)などとのネットコミュ二ティ連動が始まり、日記はミクシィ(mixi)で書き、ネットイベントはセカンドライフで、動画はYouTubeから持ってくると言ったメディア・ミックスを楽しむ時代が早晩、来ると思われます。
やはりSNSやブログ、写真サイトや動画サイトに比べ三次元のサービスはネットイベントの迫力が異なります。
2) 電子通販
 これも同様にセカンドライフ内で作られたファッションや小道具のリンデンドルによる取引が既に相当盛んです。セカンドライフから書籍サイトのアマゾンにアクセスして本を買うような本格的なEコマースの時代が来るかどうかがこれからの注目点でしょう。
我が国でもゾゾタウンなどの仮想の街を活用したショッピングサイトが登場し始めています。何れはこういったサービスと連動するでしょう。
3) ビデオカンファレンス・サービス
 現在、Web2.0のIT環境が整う中で世界中の企業が再度、ビデオカンファレンスに注目しています。企業が単独でビデオカンファレンスのITシステムを購入するとすれば、まだまだ大きな投資が必要です。一方、日本企業で逸早くセカンドライフに進出したファーストステップなどの貸し会議室サービスが充実すれば、セカンドライフを安く活用してアバター会議ができます。またEラーニング目的でも企業や大学で活用される可能性は高いと考えられます。
その他、デザイナーの育成や公募、デザインセンスを持った人の採用、カスタム住宅やカスタムカーの販売などセカンドライフは、色々なビジネスの可能性があると考えられます。
今年セカンドライフが日本でブレークするかどうかは疑問がありますが、中長期的にはこの手のサービスは成功するでしょう。中々面白い時代になってきました。
日本ナレッジマネジメント学会 専務理事 山崎秀夫

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